素人にもできる

錆びて陥没したワイパーの修理

 ジムニーの有名な持病の1つ、ワイパー根元のクラックと陥没。
 専用の補修パーツなんかも売られているくらい、あたりまえの症状。
 ジムニーを知らない人に「ワイパーの根元が云々…」と説明してもなかなか理解してもらえず、
 「なにがなんだかわからない」とか「なんでリコールにならないの?」とか言われてしまいます。
 僕のジムニーも数年前にクラックが入ってしまい、修理しようと思ったのですが
 錆び付いたボルトが外れず、家屋用エアコンダクトのパテで雨が入らないようにするのが精一杯でした。
 ワイパーの支点、力のかかる部分にクラックが入ってグラグラなわけですから、ろくにワイパーが使えません。
 雨の日は、どうしてもというときに1回ワイパーかけるだけ、みたいな酷い状態でした。
 ところが、とうとう病状が進行し、付け根部分が完全に陥没。
 ワイパーが動かなくなってしまいました。

 これはもう、直さなきゃ(たぶん)車検も通りません。
 今度は、ボルトが回らないからと諦めるわけにはいかないのです。

用意したもの
ナットブレーカー
どうしても外れないナットは
割ってしまえ、という
凶悪なツール。
19mmのナットに対応した物を。
メガネレンチ(19mm)
ワイパーのナットはこのサイズ。
ナットブレーカーを回すのにも
このサイズのスパナが必要なことに
運命を感じる。
ラスペネ ミニ
CRC-556の強力なやつ。
ちょっと高いけどCRCより使い勝手がいい。
ワイヤーブラシ
これでボルトの錆を落とさないと
新しいナットが入りません。
100円ショップで買えます。
※これで歯を磨くところを想像してはいけません。
ねじ山修復ヤスリ
ナットブレーカーを使うと、どうしても
ボルトの山がつぶれてしまいます。
それを修復するためのヤスリ。
ピッチ1.25mmに対応した物を。
ハンドドリル
プレートと取り付ける穴を
開ける必要があります。
ドリルビット(鉄鋼用、2.5mm)
100円ショップのもので充分。
サイズは、補強プレートに合ったものを。
ワイパーマウント補強プレート
これがなきゃ始まらない。
素材やデザインがいくつがあるので、型式に合った物をお好みで。
新しいナット
ディーラーさんで取り寄せてもらいます。
たった100円で、送料も手数料もいらないので
遠慮せずディーラーさんに行きましょう。
・38278-67011 ナット
・38271-82C00 ワッシャ
・38272-82C00 パッキン
 ※JA11-5型の場合。
コーキング材(バスコーク)
プレートの下には大穴が開いてるので、
プレートとボディーの隙間を埋める必要が
あります。


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1.現状の確認

 クラックどころの騒ぎじゃありません。
 錆びてるというか、なんかもう腐ってる感じ。
 こんなんでも治せるのか?と少々不安になります。
 落ち込んでしまったときに救出できるように針金を巻き付けてあります。


2.錆びたナットの取り外し

 ラスペネを吹き付けてナットが回ってくれればいいんですが、どうしても回らない場合は無理しないで割った方が早いです。僕の場合は2週間くらいなんとか回そうと頑張ったんですが、その労力と時間を考えたらナットブレーカー(ナットスプリッタ)を買ったほうが安上がり。
 慎重にブレーカーを締めていって、ナットに刃が食い込み、「おかしいな、これひょっとして割れないんじゃないか?」と思ったあたりでさらに慎重にちょっとずつ締め込んで行くと、最後に「パキッ」って割れてくれます。

 ナットブレーカーは、ナットの外側からクサビを押しつけてナットを割ります。
 なので、ボルトの山が少しつぶれてしまいます。
 そのままではナットが入ってくれないので、あとでネジ山修復ヤスリで山を整えます。


3.ボルト部分の錆落とし

 ラスペネを吹き付けます。CRCでもいいんですが、なんとかボルトを回そうと買ったラスペネを意地でも使いたかったので。


 しばらくおいてからワイヤーブラシでこすり、錆を落とします。ボルトの溝に錆が詰まっていると新しいナットが入らないので、なるべくきれいにします。
 でもそんなに神経質にならなくても大丈夫。まあこんなもんか、でOKです。
 このブラシで歯を磨くところを想像しないように注意してください。

 この後、ねじ山修復ヤスリをかけておきます。
 ピッチ1.25mmのヤスリで、力を入れずにコリコリと削ります。
 少し削ったらナットを締めてみる、の繰り返し。削りすぎたら取り返しがつかないので。


4.補強プレートとナットの取り付け

 新しいナットとワッシャ、パッキン。
 朝イチでディーラーさんに行ってお願いすれば、早ければその日の午後には届きます。
 ディーラーさんに「安いパーツで申し訳ないんですが…」と切り出したら、「10円でもいいので遠慮なく」と言ってくれました。
 ネットで純正パーツを検索すると、ヤフオクで法外な値段で売り買いされてるのがヒットします。でも、ディーラーさんに行けば定価・送料手数料なしで取り寄せてもらえます。2回ほど来店する必要はありますが、ヤフオクのぼったくりには引っかからないようにしましょう。


 プレートに、新しいナットでワイパーリンクを固定します。
 この時点で大穴が隠れるので、ニヤニヤしてしまいます。


5.ネジ止め用の穴を開ける

 プレートに合わせて、ハンドドリルでねじ穴を開けます。
 プレートによっては穴が開いてなくて両面テープで留めるものもあるようですが、やっぱりネジ止めのほうがいろいろと安心です。
 いろいろ、というのは、強度の面もありますがプレートを外して再修理することもあり得るよなーということを考えて、ということです。
 同じ理由で、リベット留めのほうがかっこはいいですがネジ留めのほうがいいかな、と思います。

6.プレートの取り付けとコーキング

 ネジ穴を開けたら、あとはネジ留めしてワイパーを取り付けるだけ。
 ボディーとプレートの隙間、ネジの部分をコーキング剤で埋めておきます。
 これで完了。


7.インプレッション

 この作業の翌日から旅行に行ったのですが、最終日、帰り道で雨が降ってきました。
 数年ぶりに滑らかに動くワイパーを見て感激していると、横のツマが一言「いや、これが普通だから」。
 …ごもっともです。

 先日、関東地方も梅雨入りしました。今年は雨におびえなくてすみます。
 雨降らないかなー、と、新しい傘を買ってもらった子供のように空を見上げる毎日です。



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