超電導リニア500km/h試乗レポート
2005年8月6日、念願の超電導リニア試乗会に参加してきました。
これは、抽選で選ばれた人しか参加できないプライスレスな試乗会なんですよ。
当選通知
出張から帰ると、ポストの中に1通の封書が入ってました。
「超電導リニア試乗会案内状」とあります。数年前からずっと応募し続けていた超電導リニア試乗会に、やっと当選しました。
会場へ
試乗会は、山梨県都留市にあるリニア実験センターで行われます。僕の住んでいる市川からだと、ふつーに行くと片道2180円もかかります。けど、JRのホリデーパスを使えば2300円で乗り降り自由。試乗の後にぶ・ら・り途中下車ができるので、お得です。(富士急ぶんの運賃580円が別途必要)
午前7時48分、市川を出発。JR総武線・JR中央線・富士急線と乗り継ぎ、10時09分に禾生(かせい)駅に到着。「次は〜、かせい〜、かせい〜」なんて車内アナウンスに、「おお、SFだ」なんて思ったり。思っただけじゃなくて口に出しちゃったり。
これからリニアに乗るってのに、そこに向かうまでの電車はレトロな車両でした。
禾生駅で降りると、こっちから聞くまでもなく、改札のおばちゃんが実験センターまでの道を教えてくれました。若い人がここで降りるのはリニアしかない、っていう感じ。実験センターまでは、徒歩で20分くらいです。
当日はものすごく暑く、そりゃあもうやっぱり車で来ればよかったと後悔したんですが、高速代や高騰しているガソリン代のことを考えるとやっぱり電車で来た方がいいしビールも飲めるし、でもやっぱり暑い暑い。ひぃひぃ言いながら到着しました。
ちなみに、当選通知に書かれている地図はまったく役に立ちません。でも、駅のおばちゃんと、ときどき道ばたに立っている案内板だけを頼って行けば大丈夫。
見学
受付時間までまだ間があります。試乗会は1日に何回かあるので、まず走るリニアを見ることにしました。
実験センターに併設されている見学センターは、1Fがリニアグッズやお菓子などのおみやげの売店、2Fが展示室、3Fが展望室となっています。が、走るリニアを見るなら線路の向かいの展望広場がいいということで、そちらから見学しました。
デジカメのムービーで撮ろうとして用意していると、「まもなく通過します」というアナウンスの直後に現れたリニア。いや、慌てました。リニアが速いのかアナウンスが遅いのか。
時速500キロで駆け抜けるリニアは、さすがに速いです。けっこう音が大きいのが意外でした。風きり音だけじゃないみたい。もうすぐあれに乗るのかと思うと、楽しみです。
搭乗
いよいよ試乗の時が来ました。まずは広い部屋に通され、リニアの歴史やなんかを学ばされます。いいから早く乗せてくれ、っていう空気が充満します。が、今回の試乗で試乗者が10万人を突破したので記念品を差し上げます、という言葉にどよめきと喝采がわき起こりました。まったくゲンキンなもんです。
この日この回の試乗に参加した人は、すべて10万人目として認定されるそうです。認定されたからって何か得なわけでもないですけど。逆に、なんだよ日本で10万番目かよ、とちょっと萎れぎみ。
長い話が終わり、やっと乗車できることになりました。リニアに乗り込むのは、飛行機と特急列車の中間、といった雰囲気です。特に、さあいよいよ、という緊張感とか期待感はありませんでした。
第1走・第2走
まず、線路の西側の端まで、ゆっくり前進します。ゆっくりと言っても200キロ近く出ているんですが、なにせ完全にトンネルの中なので、まったくスピードは感じません。
いったん停車し、係員が説明を始めます。次は線路の東側の端まで時速300キロ程度でバックします。時速約160キロに到達するとタイヤを格納し、浮上走行に移るとのこと。走行音が変わるのでわかるそうです。
走り出すと、加速が非常に滑らかだと感じました。当然、変速ショックはありません。速度が上がるにつれて、走行音が大きくなってきます。しかし、時速160キロを越えた瞬間。ふ、とロードノイズが消え、浮上したことがわかりました。
当然ですが、フワフワ感はありません。多少振動はありますが、車輪(の、フランジ)が線路に当たって発生する不快な横揺れがないので快適です。また、飛行機のように空気を切り裂いて浮力を得ている訳でもないので、上下方向にも安定しています。
やがて減速に移りますが、これもまたスムーズです。すべてコンピュータで制御されているそうで、人間がブレーキングするとどうしてもブレーキを効かせ過ぎたりゆるめすぎたりで微調整が必要となり、結果として乗客が前後に揺すられることになりますが、リニアにはこれがありません。その点も、飛行機よりかなり快適だといえます。
第3走・第4走
次の第3走は、時速500キロの走行です。説明によると、最高速度に達するまでは80秒。ほとんどトンネルの中を走りますが、見学センターの付近だけは外を走ります。その間、約8秒。速すぎ。
外の景色は見えないので、速度計と前方映像が映っているモニタを見るしかありません。ぐいぐい加速し、時速500キロに達するころ、トンネルを出ました。
慌てて外を見ます。さすがに速い!
しかし、外の景色を眺める暇もなく、またトンネルに突入し、減速を始めました。時速500キロで走るのは、ほんの数秒間です。これで試験走行になるのか? ちょっと疑問ではあります。
ともあれ、メインの走行は終わりました。時間は短かったですが、さすがに「501km/h」の表示はインパクトがあります。飛行機よりはずいぶん遅いんですが、そういうことは問題じゃない。リニアだということに意義があるんです。
第3走が終わると、時速400キロ程度で車庫に戻ります。いや、400キロで突っ込むわけじゃなく。
また係員から説明があり、半径8000mのカーブが曲がるが、乗客が横Gを感じないように傾斜がつけられているということでした。それなら多少縦Gを感じるかな、と思って気を付けていたんですが、わかりませんでした。
これで第4走も終わり。ホームに戻って降車です。
降りると、テレビカメラが待っていました。これはいつもいるのか、試乗者が10万人を達成したからかはわかりません。どっちにしろ、個人のカメラならともかく、報道に使われる可能性のあるカメラに撮られるのはいい気分じゃないです。やめてほしいなあ。撮るなら撮るで、あらかじめ言っておいてほしいものです。
出口付近では、10万人試乗記念の粗品(予想通りボールペン)と、乗車証明書がもらえました。
おわりに
これで念願の試乗が終わったのですが、感想をまとめると、
・加速/減速共に滑らかで、振動も少ない。飛行機と比べるとかなり快適。
・こんなコースを走っていて、実用試験になるのか?
・いつまで試験走行しているのか? ひょっとして、ずっと試験をつづけて補助金をもらい続けているんじゃないか?(と勘ぐりたくなるほど長く試験走行をしているし、完成度も高いと思える、ということですが)
といったところでしょうか。
試験自体には疑問がありますが、やはり念願のリニア乗車、ということで満足。乗車証明書、大切にします。10万人記念ボールペン、もうちょっとこう、記念になるものが欲しかったなあ。乗車証明書に一言書いてもらえれば、それでよかったんですけど。
おまけ
JRのホリデーパスは途中何度でも乗降車できるので、何気なく八王子駅周辺をぶ・ら・り。
たまたま「八王子まつり」の真っ最中。山車があり、御輿があり、屋台が並び...。久しぶりに「正しい日本の祭り」を堪能しました。
|
|
|
|