☆5日目(阿寒・屈斜路・多和平)


7/31 雨のち晴

 朝から雨。
 気が滅入るのがわかっているから、起きたくない気分だ。

 どうしようかと、しばらく悩む。予定通り、コッタロ湿原を渡るか、それとも車で別のどこかに行くか。
 結局、湿原は明日にすることにした。天気はゆっくり回復しているようだし、明日なら晴れるだろう。

 塘路湖から日帰りとなると、阿寒湖、屈斜路湖あたりか。行ったことのない阿寒を目指すことにした。わざわざ阿寒まで行ってマリモを買って帰ってくる、というのも、なかなかバカバカしくて、だからこそ楽しそうに思えた。

 早速出発した。
 途中、双岳台、双湖台を通り過ぎる。このあたりから、空は気持ちよく晴れてきた。山を一つ越えたので天気が大きく違うのだろう、そう思った。
 山道を気持ちよく走り、阿寒湖に着いた(らしい)。しかし、その第一印象は、「最悪!」だった。
 何が悪いって、まず駐車場が有料で道は走りにくいタイル敷き。その上、土産物屋がびっしりと並び、湖が見えないのだ。収入を観光に頼らざるを得ない状況、それが解らないでもないからあまり文句は言わないが、「こんなヒドイところには二度と来ない!」と誓った。
 結局、マリモどころか阿寒湖を見ることもないまま引き返すことになった。


道東・道北あたりのように見える
 帰りに寄った双湖台。ここから湖を見下ろすと湖が北海道の形に見えるというが、「まぁ、見えないこともないかな? って感じ?」だった。季節が違えば、木々の繁り具合などでもうちょっと らしく見えるのかもしれない。


 まだ十分時間があったので、屈斜路湖(くっしゃろこ)、美幌峠(びほろとうげ)に寄ることにした。
 特に、昼前でお腹が空いていたので、名物のじゃがいもドッグが楽しみだった。

 屈斜路湖を眺めながら峠に近づくにつれ、緑の美しさが増して行くようだった。
 思えば、ここに来るのは3度目だが、晴れていて、霧もないのは初めてだ。高い木があまりなく、クマザサが斜面を覆っている。それが、美幌峠に独特の美しさを持たせている。


↑美幌峠から屈斜路湖を眺める/
/美幌峠。写真ではその美しさが伝わらないのが残念↓
 峠の売店は、以前より商売気が強くなっているようだった。スピーカーから、絶えずソフトクリームやお茶を買えという声が流れている。ソフトクリームはクマザサ入り、お茶もクマザサ茶。たぶん、その辺から刈り取ってきた物だろうからちょっと気分が悪い。やはり、じゃがいもドッグを買った。しかし、これが...。まずいとは言わないが、明らかに味が落ちている。コロモが薄く、やたらと油っこい。以前に来たのは2年前。その間に、何があったのだろう。
 またがっかりさせられたので、もう帰ることにした。


↑↓夢のような景色が続く
 野付岬(のつけみさき)を見て行きたかったが、さすがに時間的にムリがあったのでそれはあきらめた。そのかわり、途中、適当なダートを見つけたので寄り道して行くことにした。
 それは、思いがけずすばらしい寄り道になった。森を抜け、丘陵を眺め、まるで夢のような景色が続く。いくつかの牧場を通り過ぎ、やがて元の国道に戻った。

 さらにその先に、多和平(たわだいら)という看板を見つけた。どのガイドブックでも見覚えがないので大したことはないだろうと思ったが、時間は余っているので一応寄ってみることにした。
 ところが、多和平は思っていた以上にすばらしい所だった。牧場の中にあり、小高い丘に建てられた展望台に登ると、360度、見渡す限りの丘陵が続いていた。とても写真には収まりきらない、スケールの大きな景色。
 何もない、充実した空間。それが無限に広がっている。

↑↓何もない、けれど充実した空間
 多和平の良さは、その景色だけではなかった。売店はあるが、店の外にはよけいな音楽を流していない。僕は自分のリズムで歩き、呼吸をし、地平線を眺めることができた。
 北海道の観光地は、こうあって欲しい。僕は「旅人の勝手な意見」だとは思ったが、多和平がいつまでもこのままであって欲しいと願った。

 多和平の余韻を残したまま、塘路湖まで戻ってきた。
 朝は雨だったのに、今はきれいに晴れている。こんなことなら、今日、自転車を出すべきだったか。
 明日も、このまま晴れてくれるといいが。
 湿原を走る、ラストチャンスだ。


↑楽しそうな地名。るるらん♪/
/この日お世話になったシロンドー温泉↓